第30回
キツネノマゴは名前も花もユニークだ
2016.07.18 [西原 升麻]
キツネノマゴの由来は諸説あって、
・花がある穂の部分をキツネの親、そこから飛び出す種が孫
・ママコナの花に似て、小さくいやしいからキツネノママコ、それがマゴに転訛した。
・花の穂がキツネの尾のようで小さいから
いずれも妖しいわけではなく、小さいことは一致していますが、はっきりしないのはキツネです。
ママコナとは似ている?似ていない?
唇と言うより舌か座布団です
この花を正面からアップで見ると子狐、いや小さいので孫狐の顔みたいに見えます。あまり大きくするとキツネよりフクロウに見えるのですが、肉眼ならば何かの顔程度にしか見えないので穂がキツネの尾とすれば小さな顔が孫のキツネでも問題ないでしょう。
尾に見える穂と白い部分が小さい顔に見えるキツネノマゴの花
そう言えば民俗学者の柳田国男は植物の名がしばしば子供の表現から来ていると指摘しています。タンポポ、キツネノカミソリ、方言ですがスズメノハカマ(カタバミ)、ネコノマクラ(ウツボグサ)など多くあると言っています。キツネノマゴも子供的な表現なので子供には狐の孫に見えたのかもしれません。
あまり注目されないキツネノマゴですが、世界では230属4000種と大所帯の割に、日本で見られるのはごくわずかだと言います。それも多くは西日本や南方の島に地域限定だと言うので、どこでも見られるキツネノマゴは日本では結構貴重な存在だと思います。
ちょっと細工してツユクサの花と同じくらいの大きさにしてみました
もしキツネノマゴの花がもう少し大きかったら、注目されてもっと有名な花になったでしょう。でも人気が出すぎて盗掘にあい、絶滅危惧種になっていたかもしれません。
なのでキツネノマゴにしてみればこのまま、人にも振り向かれず邪魔にもされずそんな状態でいたい、と言っているような気がします。
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